2024年9月25日、室町三井ホール&カンファレンスにて「Metaverse Japan Summit 2024」(主催:一般社団法人Metaverse Japan)が開催されました。2022年から渋谷で開催されてきた本サミットですが、3回目となる今回は日本橋での実施となり、アワード表彰式も同時開催という初の試みに。当日は多くのお客様が来場され、大盛況となりました。
本記事では、そのイベント当日の様子をお届けします。
メタバースの社会実装に向けた課題や未来を議論する、日本最大規模のカンファレンス。Web3業界とメタバース業界から国内外のトッププレイヤーが集まり、トークセッションのほか、最新のプロダクトやサービスの展示も実施。2024年度は「Next メタバース 」をテーマに掲げ、生成AIの驚異的な進化、ポストコロナ時代におけるデジタル変革、そして先端技術の融合が創出する新たな世界観とライフスタイルを探求。変わり続けるテクノロジーと社会実装をつなぐ議論を行う。
2024年9月25日(水)13:00〜19:00
一般社団法人Metaverse Japan
参加者数 約500名
面積373㎡、天井高5.9mのスペースを誇る「Hall」の約3分の2をメインステージ、約3分の1をEXHIBITION(出展ブース)として設営。また「Foyer」をオープンステージ、廊下を出展ブースとすることで、受付から展示、オープンステージ、メインステージまでの回遊動線をスムーズに。
キーノートセッション「AIがもたらすメタバースの未来」
メインステージで行われたキーノートセッションのテーマは「AIがもたらすメタバースの未来」。カーネギーメロン大学ワイタカー記念全学教授の金出武雄氏、慶應義塾大学 医学部教授の宮田裕章氏、そしてMetaverse Japan 代表理事の馬渕邦美氏の3名によるトークセッションが行われました。
生成AIの登場により、メタバースの課題だった“技術者の不足”が解決されつつあると話す3者。そのうえで、ロボット工学を専門とする金出氏は、“物理的なリアルさ”をメタバースで再現する必要はあるのか?と課題を提示。それを受け、宮田氏は“新しい別世界に皆が行く”のではなく、“人それぞれに個別化された世界を作る”ことがメタバース(多元世界)の本質なのでは、と議論を深めていきます。
分野特化型AIや、ChatGPTのような多言語モデルと絡めながら展開されるセッションに、メインステージの会場は満席となり、真剣にメモを取りながら話を聞く観客も多く見られました。
トークセッション「Apple Vision Proが拓く、空間コンピューティングの未来」
続いて、メインステージでのトークセッション「Apple Vision Proが拓く、空間コンピューティングの未来」では、VRアーティスト・せきぐちあいみ氏による、Apple Vision Proの実機を使ったデモ実演のワンシーンも。
「あ、また世界が変わる、という衝撃を皆さんにも感じてもらいたい」と強く語る、せきぐち氏。ワイヤレスのゴーグルから見える画面が会場スクリーンに映し出され、手の動きにあわせて遅延なくペイントやモーションを試していくと、その画質の美しさに会場全体から感嘆の声があがり、拍手が沸き起こりました。
受付からメインステージへ向かう途中に配置。足を運びやすいメリットが
オープンステージのエリアは、室町三井ホール&カンファレンスの「ホワイエ」を使用。天井までガラス張りの窓からは柔らかな光が差しこみ、外の景色も楽しめる風通しの良い空間で、合計7つのセッションが開催されました。
各セッションのトピックは、教育、行政、都市空間、マーケティングと多岐にわたります。それぞれの業界におけるメタバースの最新活用事例や、今後の可能性が議論され、来場者も熱心に耳を傾けている様子。
聴講用の座席も用意されているなか、立ち見で会場が埋まるほどの大盛況となったセッションも散見され、注目度の高さが伺えました。メインステージに向かう動線の途中にオープンステージが位置しており、足を運びやすいという利点もあった印象です。
出展者と来場者のネットワーキングの場にも
メインステージエリアの展示ブースでは、大日本印刷(DNP)が東京都と推進する“Be Smart Tokyo”のチームや、都市型XRアートなどを展開する㈱STYLYによるサービスのデモを実施。また、本施設の廊下を活用した展示ブースには、J.フロント リテイリング(大丸松坂屋百貨店)、TOPPANホールディングス、トランスコスモス、パスコ、XR・メタバース総合展などが出展していました。
本イベントの客層は、XRやVR関連のスタートアップ企業やクリエイターをはじめ、教育、建設、観光、広告業界など幅広く、来場者と出展者とのネットワーキングの場としても機能していた様子です。
会場のスムーズな動線設計を評価する声も
本イベントは、開放的な空間の中にステージと展示が共存しており、来場者はセッションをまわりながら時折展示ブースで足を止めて、デモを体験したり説明に耳を傾けたりする姿が見られました。
開場後の1、2時間ほどは最も来場が多い時間帯で、受付付近も賑わいましたが、スムーズな経路設計により、迷いのない人の流れが作り出せていました。出展者の方からは「会場内の動線がすっきりしていてわかりやすい。ステージと展示の行き来がしやすい」との声や、「セッションのエリアが開かれているお陰で、出展しながらもセッションの内容に耳を傾けることができている。ほかの展示会ではあまり無く、ユニークな作りだと思う」との声が聞かれました。
室町三井ホール&カンファレンスの良さは"低層階"
また、今回の会場となった室町三井ホール&カンファレンスについて、出展者の方から「会場の場所が非常に良い。3階という低層階で、これだけの大きなホールを備えている施設は他にはなかなか無い」と太鼓判を押す声もいただきました。今回は事前申込制のイベントだったものの、「(過去の経験から)低層階でのイベントだと、当日客へも認知されやすく、客足も高まる実感がある」とのことで、当施設の利用面のメリットを伺うことができました。
AI技術の進歩によって、メタバースに"魂"がこもった
メインステージにてラストを飾ったのは、今回のサミットと同時開催の「JAPAN Metaverse Awards 2024 表彰式」です。ハッカソンで開発されたプロダクトが対象の「Metaverse Japan Hackathon」から2つの賞と、メタバース業界をリードするプロジェクトや個人を称える「Metaverse Japan大賞」から6つの賞、合計11作品が受賞しました。
合計142件もの応募があったという本アワードについて、審査員を務めたMetaverse Japan理事の山口有希子氏・中馬和彦氏、アドバイザーのせきぐちあいみ氏からは「全体的にレベルが高く、ジャンルの幅も広がった」との総括コメントが。これまで技術よりも先行していたメタバースだが、AI技術の加速によって"魂"がこもり、実際に使用可能なものになってきているとし、今後の更なる実用性に期待を寄せていました。
最後は受賞者を含め、メディアによる記念撮影が行われ、盛況のなかイベントは幕を閉じました。