日本橋エリア一帯を舞台にした周遊型の謎解きイベント「月面ワンダー 〜日本橋に月をつくってみた〜」。TV番組ともリンクさせ、街中を散策しながら各スポットの謎を解いていき、ゴール地点となる「室町三井ホール&カンファレンス」では巨大な月面空間が楽しめます。
この記事では、日本橋における「エリアMICE」「街一体型MICE」の事例として、主催者である日本テレビホールディングス 経営戦略局R&Dラボ部次長(兼)日本テレビ放送網 社長室宇宙ビジネス事務局の加藤友規さんにインタビュー。本イベントの企画背景や工夫点、日本橋を選んだ理由などを伺いました。
イベント概要
日本橋エリアの利用イメージ
【主催者インタビュー】日本テレビホールディングス 経営戦略局R&Dラボ部次長
(兼)日本テレビ放送網 社長室宇宙ビジネス事務局 加藤友規氏
コンテンツ企画力で、宇宙ビジネスの可能性を広げる
日本橋エリアの魅力を活かしたイベントへ
思い描いた企画を実現する施設とサポート
イベントハイライト
スタート地点 – 「コレド室町3 わくわく広場」
謎を解きながら、日本橋の風情ある街並みも堪能
ゴール地点 – 「室町三井ホール&カンファレンス」
“「ヒルナンデス!」出演者が月面都市で世界初の生放送に挑戦!だが、その最中にアクシデントが。無事に地球に帰還できるのか⁉︎”——謎解きクリエイター松丸亮吾氏率いるリドラとのコラボで贈る本格謎解き『月面生放送のピンチを救うンデス』と、ゴール後は未来の月面を再現した『月面“ワンダー”フル空間』や実物大の月着陸船の展示が一挙に楽しめる、街一帯を活用した周遊型イベント。
2024年7月20日(土)~9月1日(日)
日本テレビ放送網株式会社
室町三井ホール&カンファレンス 及び 日本橋エリア
コンテンツ企画力で、宇宙ビジネスの可能性を広げる
—— 今回のイベント「月面ワンダー」の開催に至った背景を教えてください。
私が所属する日本テレビホールディングスの「経営戦略局R&Dラボ」では、放送やコンテンツ事業の進化に加えて、それ以外の新領域もリサーチしており、2023年から「日テレ共創ラボ」という取り組みをスタートしました。その中で「宇宙エンタメ・ビジネス共創」のテーマを掲げ、昨年6月には日本テレビ放送網に「社長室宇宙ビジネス事務局」を発足し、色々な企業と連携しながら宇宙ビジネスの可能性を探求しています。
日本の宇宙業界は高いポテンシャルを持ちながらも、一般的にはまだ認知が広まっていないという課題があります。そこで、日本の宇宙業界を応援する意味でも、日本テレビのコンテンツ企画力を活かし、宇宙を身近に感じてもらえるイベントを企画するに至りました。本イベントを通じて、一般の人々に宇宙の魅力を伝え、興味を持ってもらうことが今回の大きな目的です。
—— 宇宙をテーマにしたイベントの中でも「体験型」を重視した理由は何でしょうか?
自然に宇宙について学ぶきっかけを提供したかったためです。単に展示を見るだけでなく、参加者が自ら動き、考え、解決することで、より深く宇宙の魅力を感じてもらえるような工夫を入れ込んでいます。
たとえばお昼の人気番組「ヒルナンデス!」と、謎解きクリエイター松丸亮吾さん率いるRIDDLERのコラボによる本格的な謎解き体験では、大人も子供も宇宙のことを楽しく学べます。また、JAXA、日揮グローバル、ispace、三菱電機など、幅広い企業との協業も実現し、各コーナーで楽しく体感しながら宇宙に関する知識に触れ、教科書的ではない学びが得られるように設計しています。
日本橋エリアの魅力を活かしたイベントへ
—— 体験型イベントの中でも「周遊型」「街一体型」を採用した理由、狙いは何でしょうか?
今回の舞台となった日本橋には、謎のヒントにできそうな場所がたくさんありました。また、実際に歩いてみると随所に風情ある風景があり、街歩きとしての楽しみも得られます。こうした特性を活かし、参加者が実際に日本橋を歩き回りながら謎解きを進めることで、よりイベントに熱中でき、地域の魅力を再発見する機会を提供できると感じました。
—— 候補地として「日本橋」を選定した理由を教えてください。
大きな理由としては、三井不動産が中心となり宇宙の街として様々な活動をしているエリアだからです。私たちも、日本橋を舞台に宇宙産業に関するオープンイノベーションを推進する「cross U」という団体に加入しており、宇宙をテーマにしたイベントを日本橋で開催する意義を感じて選択しています。
思い描いた企画を実現する施設とサポート
—— ゴール地点に「室町三井ホール&カンファレンス」を採用した理由を教えてください。
今回のイベントでは未来の月面世界を再現する展示もあり、参加者に「自分も月面に行った!」という没入体験を提供するために大画面での映像投影が必要だったのです。その点「室町三井ホール&カンファレンス」は373㎡もの広いスペースと、5.9mの天井高を有するとても大きなホールを備えており、私たちの思い描いていた展示を実現できる施設として最適でした。
また、街周遊イベントのゴール地点としてアクセスしやすい場所にあることも重要なポイントでした。日本橋エリアの中心に位置しており、参加者が移動しやすく、集客にもプラスの影響を与えます。さらに、室町三井ホール&カンファレンスは、過去にも多くの催事の実績があり、来場のしやすさという観点からも魅力的でした。
—— ユニークな体験を生み出す上で、企画時に意識したポイントはありますか?
まず「楽しい体験の中から、自然に宇宙のことを学べる」という企画の軸を設定したことです。そのため、参加者が楽しみながら学べるような工夫を取り入れています。
また、企業が取り組んでいる最先端の技術と日本テレビのクリエイティビティを掛け合わせ、より魅力的な体験をつくる、というポイントにも注力しました。たとえば研究開発段階の生成AIを使い、自分が宇宙飛行士になった写真を作れる「MIRAIポートレート」は参加者から人気です。日本テレビは日々、楽しくわかりやすく情報を伝えることを考えているため、こうした能力を活かして企業と共に新しい体験を作り出すことができたのだと考えています。
企画途中では、臨場感を出すために会場内フロアに砂を敷き詰める大掛かりな案も生まれ、会場側にも理解していただいていたのですが、運搬や設置の問題から今回は断念しました。このような試行錯誤を通じて、最適な体験を提供するための工夫を続けました。
—— エリア一帯でイベントを行うにあたり、工夫した点はありますか?
今回は会場を単一施設に限定せず、日本橋エリア一帯にまで範囲を広げたイベントとしましたが、おかげで面白い試みも色々と実施できました。たとえば、近隣店舗でイベント趣旨に合わせたコラボメニューやコラボグッズを企画したこと。「星空パフェ」や「月面基地モンブラン」など、宇宙をテーマにしつつ、夏に合わせたスイーツなどのコラボも実現しています。
コラボ企画を通じて、イベント参加者が楽しめるだけでなく、地域全体がイベントの一員として盛り上がれる効果があったように思います。各店舗にも協力いただき、1〜2ヶ月でコラボメニューやグッズを作成していただけたことに、大変感謝をしております。
日本橋エリアと施設のポテンシャルを活かしたイベントにできたと思うので、ぜひ多くの方に楽しみながら宇宙に触れていただき、多くの人に宇宙のことを知って頂く機会になればいいなと思います。
日本テレビにて技術開発部門、ネット事業部門などを経て2014年にテクノロジー×エンターテインメントの未来を探求するSENSORSを立ち上げ。 2019年6月から社長室R&Dラボにて、生活者×テクノロジー×コンテンツの視点で、企業・大学との共創により新たな体験価値を生み出すR&D活動を推進。2023年2月より日テレ共創ラボをスタート。2023年6月より日本テレビホールディングス経営戦略局R&Dラボ、及び日本テレビ放送網社長室宇宙ビジネス事務局にて日テレグループの共創活動を推進。
謎解きイベントの受付は、コレド室町3の地下1階特設スペース。東京メトロ半蔵門線・銀座線「三越前」駅直結のため、改札から出て30秒でイベントに参加できるアクセスの良さです。
参加時に渡される謎解きキットを手掛かりに、日本橋エリアの街歩きをスタートします。
謎を解くカギとなるのが、ビルや看板など日本橋エリアにある実際の街並み。ヒントを一生懸命探すうちに、普段は気づかなかった風情ある景色にも出会えます。
通常コース(45分)と入門コース(25分)と難易度別に2種類のルートが用意されているため、謎解き上級者も、小さなお子様連れのファミリー層も満足できる設計になっていました。
宇宙空港のロビーを模した入口をくぐると、没入型の月面空間が登場。端から端まで23mの巨大スクリーンに映し出される月面都市は、リアルな世界観で思わず引き込まれます。民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」の月着陸船や、自分が宇宙飛行士になった写真を生成AIがつくる「MIRAIポートレート」などコンテンツも充実しており、“楽しく宇宙を学べる”配慮が随所になされていました。
本イベントの特設サイトは、以下のリンクからご覧ください。