2007年にカリフォルニアで開始したヘルステックカンファレンス「Health 2.0」。2015年から、医師向けコミュニティサイトを運営するメドピア株式会社主催のもと、日本でもスタート。2019年度は東京日本橋にて開催された。
参加者数延べ約1,100人(平日2日間)
エリア最大級となる日本橋三井ホールで行われたオープニングスピーチには、HIMSSのNo.2である統括理事兼副社長、ブルース・スタインバーグ氏が来日。イベントの社会的意義を力強く唱え、プログラムの要点を解説した。Health 2.0は2017年に世界最大の医療系ITカンファレンスを主催するHIMSSの傘下に入り、今回、日本では初めて共同の名前を冠してのイベント開催となった。
冒頭の挨拶で、主催者であるメドピアの石見代表は、投資拡大と規制緩和の観点から、日本のヘルステック市場のポテンシャルを強調した。またパネルのモデレーターや、ピッチの審査員として、自身の事業運営経験を生かした実践的な視点やアドバイスを提供。若手起業家や新規事業担当者に寄り添う姿勢が印象的だった。
イベント2日目の午前の日本橋三井ホールでは、HIMSS Trackと銘打たれた国際色豊かなパネルディスカッションが展開された。登壇者は、平均・健康寿命が日本よりも長いシンガポールの、保健省の医療情報学責任者や、先駆的な病院として名高いソウル大学ブンダン病院のCIOなど。参加者は世界最先端の貴重なヘルステックトークに注目していた。
注目の最終ピッチコンテストも、日本橋三井ホールで開催。広いステージという特長が生かされ、国内屈指の投資家や医師起業家といった豪華審査員と起業家との質疑応答が壇上で緊張感をもって繰り広げられた。本ピッチコンテストは、予防、医療・介護、食、そしてHRまでと広範なテーマを対象とするため、多様なビジネスモデルと日本社会への強い問題意識が共有された。
もう1つのメイン会場である室町三井ホールでは、日本橋三井ホールよりコンパクトであるため、講演よりパネルディスカッションが多く展開され、内容によって会場が使い分けられた。室町三井ホールで開催されたパネルディスカッションの1つは、現代女性のライフスタイルを支えるフェムテック(Female + Technology)と呼ばれる新領域がテーマ。起業家が知見をシェアし、参加者と共に機運を高めようとする一体感が感じられた。
自然光と照明が明るい雰囲気をつくるホワイエは、ブース出展社と来場者の交流の場になった。また、ホールとホワイエが一体化したことで、展示ブースを巡る来場者が、ホールに近づいて足を止める様子が散見された。その他、飲み物コーナーは会場の隅に押しやられることが多い中、ホワイエ中心に配されたことで、人の流れを活性化することに奏功した。